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【演者】濡木 理 先生(東京大学大学院理学系研究科生物化学専攻 教授)【演題】分子標的創薬と遺伝子治療を目指した構造生物学的アプローチ

  • 執筆者の写真: SystemsBioMedicine TMDU
    SystemsBioMedicine TMDU
  • 2024年12月3日
  • 読了時間: 2分

特別セミナー ハイブリッド形式にて開催しました

日時:令和6年12月4日(水)17:00-18:00 要旨:クライオ電顕を用いた複合体解析に関して、最近我々は、副甲状腺ホルモン受容体(PTH1R)に対するバイアスアゴニスト(Gタンパク質とのみ共役し、βアレスチンと共役しない作動薬)であるPCO371とGs複合体のクライオ電顕解析および変異体解析から、PCO371はPTH1RとGαSの境界に結合し、GPCRの細胞質側のみを活性化構造にして、Gsと直接結合し、Gタンパク質のみと共役すること、20種類のクラスB GPCRのうち半数を活性化することがわかった(Nature, 2023)。さらに現構造に基づきPCO371を作り変えることでPTH1R特異的なバイアスアゴニスト7種を設計し、現在電顕創薬ベンチャーであるキュライオで合成を行ない、現在薬理活性を測定している。

クラス 2 CRISPR エフェクターであるCas91およびCas12a (Cpf1)2 は、ゲノム編集ツールとして広く利用されている。Cas12 ファミリーの中でも、AsCas12f は非常にコンパクト (アミノ酸 422 個) であり、我々は、Deep Mutational Scnanning (人工進化) と構造情報に基づいた設計を組み合わせて、2 つの AsCas12f 活性向上変異体 (enAsCas12f)の創出に成功した3。驚くべきことに、enAsCas12fは、ヒト細胞においてSpCas9および AsCas12aと同等のゲノム編集活性を示した3。さらに、単一の AAV ベクターにパートナー遺伝子をパッケージ化した enAsCas12f は、マウスにおいて効率的なノックイン/ノックアウト活性と転写活性化を示した3。最近、我々は、Cas9 と逆転写酵素からなるPrime editorの初期、伸長、終末状態の Cryo-EM 構造を解明することに成功した4。構造に基づいた変異導入により、あらゆるゲノム突然変異を完全に修正できる、究極のゲノム編集ツールの開発への道が開かれた。

アカデミアは0から1の価値を持つシーズを掘り出し、ベンチャーが1の価値を10に高め、これを企業に売ることで、企業は10の価値を100や1000に高めて商品として売る。この連携を実現するために、我々はがん、老化、睡眠をターゲットにした創薬研究を行っている。

1. “Crystal Structure of Cas9 in Complex with Guide RNA and Target DNA” Nishimasu et al. Cell 156, 935-949 (2014).

2. “Crystal Structure of Cpf1 in Complex with Guide RNA and Target DNA” Yamano et al. Cell 165, 949-962 (2016).

3. “An AsCas12f-based compact genome editing tool derived by deep mutational scanning and structural analysis” Hino et al. Cell in press (2023).

4. “Structural basis for pegRNA-guided reverse transcription by a prime editor” Y. Shuto, R. Nakagawa, S. Zhu, M. Hoki, S. N. Omura, H. Hirano, Y. Itoh, F. Zhang and O. Nureki Nature 631, 224-231 (2024).

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